小泉麹屋がつくる麹

日本人は、いつから麹を使うようになったのでしょう?

麹は米に麹菌を付着させて作りますが、昔は、米はとても大切な食べものであったはずです。それをお米として食すのではなく、麹作りに使う…。ちょっと不思議ではありませんか?


米麹

一説として言われているのが、麹は、神様へのお供え物として献上したお米に、偶然、麹菌が生えたのを発見したことがはじまりだということです。台風や津波といった天災は神様の業と考えられていましたので、お供え物をして一年の無事と豊作を祈ったのです。お供えしていた米に麹菌が生え、食べてみたら普通のごはんよりも甘いことを発見したのかもしれませんね。


食品の発酵をサポートする麹


味噌は大豆から造りますが、大豆そのものの味とは違ってうま味が多く、しょっぱいとも、甘いとも言えず、なんとも奥深い味わいがあります。香りも大豆の香りとは違って、発酵食品独特のほっこりとした香りがしますよね。

海外の方に「お味噌汁ってどんな味?」と聞かれるととても困るので「とりあえず、飲んでみてよ」と言いたくなります。この、複雑な味わいが、まさに麹の業です。

小泉麹屋では、明治元年創業以来、試行錯誤を重ねた工法で麹を製造しています。とは言いましても、ほとんどが勘と経験の世界です。麹師にとっては手の平や、温度・湿度を感じる五感がセンサーです。技術の承継というのも、職人と一緒に仕事をしながら、「ほれ!今だ!」と言われながら教わり、みな駆け出しのころは「そんなんじゃ分からないよ」と思いながら麹作りを学んだものです。



麹菌

麹屋が作る「麹」は、それぞれの麹屋によって異なります。当店のように、手しごとで麹を作るところは、日本でも多くは無くなってしまいました。使用している麹菌の種類も異なります。いくつかの麹菌をブレンドしたりもしますので、その内容は麹屋ごとの秘密、とも言えるでしょうか。これが麹菌です。



麹づくりに欠かせない手のひらセンサー

手ってとっても優れたセンサーなのですよ。少し温かいな、粘り気が強いな、など、ほんの少しの差も感じ取ります。それから、手のひらには弾力があるでしょう?手で食材を扱うということは、食品に余計なストレスを与えないということです。強い力で水分が食材の中に押し込まれると、その水分は結局は外に出てきて、うま味も栄養も逃してしまいます。手の弾力が、食品の美味しさを保ってくれるのです。



麹づくりは温度管理が命

蒸した米を、麹菌をつける前に、手で温度を確認しながらほぐします。お米が多く固まっているところは温度があがりやすいですし、端のお米は温度がさがりやすいですし、温度を均一に保つには長年の勘が必要です。



麹室

半地下にある麹室の中で、麹菌をつけた米をおきます。麹作りにおいて、温度管理はとても重要です。この室は、創業当時は藁を練り込んだ土できていて、毎年塗り直していましたが、今はコンクリートになって少し近代化^^ しました。



麹室での麹づくり

小泉麹屋が作る米麹は、長毛菌の麹菌を使っています。麹菌は、菌糸の長さで、短毛菌、長毛菌、極短毛菌、極長毛菌と分類されます。長毛菌を使った麹は、麹のまわりにモフモフと、猫で言うとペルシャ猫のような毛を生やします。長毛菌はでんぷん分解力にすぐれ、甘みをだす力が強くなります。

麹蓋(こうじぶた)と呼ばれる薄い木の箱に小分けにすることで、思う存分モフモフが生えるようにしてあげます。



長毛菌の米麹

小泉麹屋の花咲く米麹です。麹菌は、長毛の方が美味しい、などと言えるような単純なことではありません。どのようなお味噌を造りたいかから考えます。当店では大豆よりも麹を多く使用するレシピでお味噌を造っています。一般的に、大豆よりも麹の量が多い味噌を高級味噌と呼んでいます。

贅沢に麹をたっぷり使うレシピで、より甘みを引き出す麹を使うことで、小泉麹屋らしい味噌ができあがります。



短毛菌の麦麹

小麦麹の方は、短毛菌を使用しています。コロコロとしていますよね。短毛菌はタンパク質を分解する能力が強い傾向にあって、よりうま味を引き出します。麹ってすごい!のですよ。



あわせて読みたい

  1. Q. 小泉麹屋さんの麹を使ってお味噌を造りたいのですが
    ありがとうございます。手造り味噌キットを販売しております。「あなたも味噌職人」(混ぜるだけで簡単です)や「お味噌れしました」(こだわりの方へ)をご覧ください。また、麹のみでも販売しております。
  2. Q. 麹で甘酒を作ると、酒粕から作った甘酒と味が違うと聞きましたが本当ですか?
    はい、実は、全然味が違うのです。酒粕は、お酒を作ったあとの粕を使用しますので、どうしてもアルコールの香りがしますよね。お酒が好きな方には良いのですが。麹で作った甘酒は、アルコール0%で別の飲み物だと感じられると思います。お子さんにも人気ですよ。「米麹 甘酒のもと」をご覧ください。
  3. Q. 麹がからだに良いとよく聞きますが、実際にどうやって使ったら良いのでしょうか?
    塩こうじは、塩とこうじ、醤油こうじは、醤油とこうじを合わせて作ります。麹 = 甘み、うま味を引き出すもの、つまり、砂糖やうま味調味料の代わりと考えていただくとシンプルですよ。塩のかわりに「塩こうじ」または、塩と砂糖・うまみ調味料のかわりに「塩こうじ」で発想していただいて、他の調味料と同じようにご利用いただけます。「塩こうじ」「醤油こうじ」のページもご覧ください。